広告について(1)
お久しぶりです。
3週間ぶりになってしまいました…
今回は、少し毛色を変えて、広告について触れてみたいと思います。
広告とは?
詳しい解説はウィキペディアに譲りますが、売り物を持っている人(広告主)が、売りたい人(お客さん)に売り込むことを広告といってもよいでしょう。
では、この広告はどうやって利益を上げているのでしょうか。
広告が利益を上げる仕組み
あるAという会社があったとします。Aはゲーム制作会社で、今回新作を出すことになりました。今回の作品は自信作なので、きっと売上が期待できるだろう、と考えています。
ゲーム制作会社Aにはコアなファンがいて、何らかの訴求をしなくてもゲームを買ってくれるとしましょう。
コアなファンが1万人おり、ゲーム1本あたりの利益を1,000円と仮定すると、期待される利益は以下のように計算できます。
- 1,000円×1万人 = 1,000万円
さて、ここで企画担当者が「CMを出そう」と提案をしてきました。何でも、今回のゲームは自信作で、ライトユーザーにも訴求が出来そうだというのです。
CMを出すには1,000万かかりますが、CMでは100万人に訴求することが出来て、そのうち3%くらいは買ってくれそう、との見積もりが提出されました。
さて、このシナリオがそのまま実現した場合はどうなるでしょうか。
- 1,000円×(1万人 + 3万人) - 1,000万円 = 3,000万円
なんと、期待される利益が3倍になりました。あなたはこの企画を承認し、CMを出すことにしました。
では、なぜ利益が増加したのでしょうか?
「ものを買う」ということ
なぜ利益が増加したのか…それを知るには「ものを買う」という動作を紐解いてみる必要がありそうです。
「ものを買う」には、まず物を知る事が必要です。名前、価格、効能、どこで買えるのか…等。例えば、あるものがとても素晴らしい物だと知っていても、どこで買えるのかがわからなければ買うことが出来ません。
すなわち「知らなければ買うことが出来ない」と言うことができます。つまり、どんなに良いものであっても、その存在を知らなければ購入することは出来ないということです。
これは、裏を返せば「知っていれば買う可能性があった」と言うこともできます。ここに、広告がお金を生むポイントが隠されていたのです。
「買ってくれるかもしれない人」に訴求する
広告を打つことによって、「広告を見ていたら買ってくれるかもしれない人」にも商品を知ってもらう事ができます。
そのためには広告費が必要ですが、それ以上のリターンがあれば元が取れる、といううまい仕組みができています。
- 広告費 < 広告を見ていたら買ってくれるかもしれない人 × 1商品あたりの利益
広告を打つことによって、広告を出す媒体側(雑誌やテレビ、ネット等)にも広告費として利益が入りますし、広告主(今回の例ではゲーム制作会社A)の利益も上がりますので、Win-Winな関係を築くことができるのです。
しかし、広告を打ったから必ず買ってくれる人が増えるとは限りません。適切な媒体に適切な広告を出さなければならず、それをうまくやる人ための技術が広告マーケティングということになります。
広告で訴求する
では、誰にどのような広告を出したらよいのでしょうか。ここでは、「誰」に対して考えてみます。
まずは、「かならず買う人」がいます。
この人達は、広告訴求があろうがなかろうが、商品を買う人達です。本来この人達に広告が出てしまうのは無駄といえば無駄なのですが、広告効果としては「買う人にだすことが出来た!」となるので、広告の評価を難しくしている顧客層と言えるかもしれません。この層を「プレミアム層」と定義します。
続いて、一番広告効果が期待されるであろう対象の、「知っていれば買う」人です。
この人達は、商品に対して、購入するだけの価値があることを認知していながら、買っていない人たちです。例えば、漫画の新刊、ナンバリングゲームの新作などになるでしょう。この顧客層を「優良顧客」と定義します。
次に、「知ってもらえば買う可能性がある」人たちです。
この層の人たちは、その商品に対しての情報が十分にないが、知ってもらえば気に入って、買ってくれる可能性がある人たちです。
優良顧客と異なるのは、商品がどのようなもので、魅力的であることを伝えないといけない、という点です。「部屋を綺麗にしたいが、掃除をする時間がない」人に対して、自宅掃除サービスや、ルンバ等の手段を訴求することに似ています。
この層には、今抱えている問題に対して「魅力的な対応策」を訴求することが効果的です。この顧客層には、ニーズが既に具現化しているので「顕在顧客」と定義します。
では、「より深く知ってもらうことで買ってくれる層に入るかもしれない」人はどうでしょうか。ここからは、広告訴求が難しくなってきます。
この層の人たちは、まだその商品が魅力的には思えていません。例えば、車に興味がない、彼女ができて3年ほどたつ独身男性に対して、車を訴求するのは余り意味が無いように思えます。
しかしながら、結婚した後に郊外に引っ越した後には車が必要となるでしょう。その際に、「車に興味が無い人に、興味を持ってもらう広告」を訴求することは効果的といえるかもしれません。この層は、まだ要求が具現化していないため「潜在顧客」と定義します。
そして、しばらくは買う見込みがない層を「一般顧客」と定義しておきます。
潜在顧客と一般顧客の境界は曖昧で、例えば子供にお酒の広告は無意味なのか(将来酒好きになるかもしれない)など、企業の戦略に依ってくると考えられます。
潜在層と顕在層へのアプローチは異なる
先ほど分類した顧客層は、「要求が顕在しているかどうか」で、大きく2つに分けることができます。
要求が顕在化している顧客に対しては、商品の魅力について訴求すれば足りることが多いです。なぜなら、彼らもそれらを必要としていて、いうなれば両思いなのです。両思いとなった後は、お互いをもっと知ることによって購入というゴールに近づく事ができるでしょう。
しかし、要求が顕在化していない潜在顧客は、商品の魅力に気づいていない、気づくための何らかの要素が足りていない可能性があります。これは、先ほどの例えで言えば片思いといえるでしょう。
潜在層に対しては、「実はこんな機能がある」「将来的に、必要性が出てくる」などの気付きを与えることがポイントになります。例えば、郊外に一戸建てを買った人は車が必要になるので、新築一戸建てに興味が有る人に、車を訴求する、といったアプローチになるでしょう。その際、訴求方法は工夫の余地があるでしょう。
まとめ
広告について、「誰」に対して訴求するのか、という視点から記事を書きました。
一口に広告といっても、媒体、対象、訴求方法、など様々な選択肢があります。これらを時と場合によって使い分けることで、効率的な宣伝ができるようになるのです。
では、◯◯層に対しては、どういう広告訴求が効果的なのでしょう。その際に必要となる知識である「ブランディング」「獲得」など、訴求方法(どのような広告を出すのか)ついては、また次回の記事で触れたいと思います。